メリット

深夜電力の活用

蓄電池は深夜の安い電気を貯めて、貯めておいた電気を日中に使うことで差額分の電気代が安くなります。普段使う電気は安い時に買い溜めしておき、その電気を有効活用する形です。そのため、太陽光を設置できない方でも電気代が安くなります。

災害時、停電時でも安心

蓄電池があれば、停電が起きた時に太陽光発電で作った電気を蓄電池に溜めて使うことができます。特定負荷用分電盤を設置する場合は、どの配線に電気を流すかは、蓄電池を設置する際にあらかじめ設定しておきます。

太陽光発電で作った電気を貯められる

太陽光発電で余った電気を高額で買い取ってもらえる「固定価格買取制度」の期間は10kW未満は10年間です。蓄電池があれば固定価格買取制度終了後も、電気の自家消費比率を増やすことで、電気代を大幅に削減することができます。太陽光発電を設置して10年経過後は、約1/4の単価でしか買い取ってもらえません。売電ではなく、電気は蓄電地に貯めて、極力電気を買わない自給自足の家を目指すことができます。

ピークシフトに貢献可能

電力需要のピークを避けて電気を使用することをピークシフトといいます。蓄電池があれば、電力需要のピークの山を減らすことができます。電力会社は電気の需要に合わせて火力発電や水力発電など調整用の発電設備を動かしたり、止めたりする必要があります。電力需要の山と谷をなるべく無くすことにより、無駄なエネルギーを使う必要がないのです。蓄電池があれば電力需要のピークのやまと谷を減らすことができるので、日本のエネルギー事情に貢献ができるでしょう。

電気自動車との連携

最近では電気自動車と連携可能な蓄電池も発売されています。電気自動車と組み合わせて、車を走るために必要なエネルギーを太陽光発電で賄うこと、太陽光で発電した電気を蓄電池と電気自動車に充電して自給自足の生活を目指すことが可能になってきています。

デメリット

蓄電池の寿命

蓄電池は繰り返し使えるものですが、永久に使用できるものではありません。「充電」と「放電」を繰り返すことで、徐々に劣化します。この、充電と放電を繰り返すことのできる回数をメーカーによってサイクル表記として打ち出しています。蓄電池によって差がありますが、長いものは12,000サイクル。蓄電池は1日に1〜2サイクル動かす(電気の使用量に応じて)ことが一般的です。
蓄電池の保証は10〜15年ほど。
蓄電池を選ぶ際は寿命がどのくらいなのか、も意識して選ぶと良いでしょう。

蓄電容量

蓄電池は、基本的にご家庭に1台。
容量によって貯められる電気の量が異なります。
現在の使用電力や今後の使用電力予想(家族構成や人数の増減など)を計算せず、蓄電池を選んでしまうと、容量が足りなかった。と後悔してしまいます。容量が多いほど価格は高くなりますが、値段だけで決めるのは決めるのはお勧めしておりません。ご自身の家庭に合った容量の蓄電池を選ぶようにしましょう。

設置スペース

家庭用蓄電池は、設置スペースを屋外または屋内に確保する必要があります。種類によって縦、横共に1m程のものから、室内空気清浄機ほどの小さな物まで多様にあります。また、「直射日光が当たりにくい」「高温や低温になりすぎない」などいくつかの条件もあります。屋内型の場合は、設置面やスペースによって置ける場所は限られるため、確認が必要です。

蓄電池の種類

電池には様々な種類があり、家庭でよく使われる一般的な単三型乾電池は一次電池と呼ばれ、使い捨てです。それに対して蓄電池は二次電池と呼ばれ、充電と放電を繰り返すことで何度も使用することができる電池です。すでに様々なところで使用されており、ノートパソコンや携帯電話のバッテリーとしても採用されています。


① 鉛蓄電池
1859年にフランスの科学者ガストン・プランテにより発明されました。二次電池の中では最も古い歴史を持っており、自動車のバッテリーやゴルフカートのような電動車用主電源として使用されています。鉛蓄電池は正極に二酸化鉛、負極に鉛、電解液に希硫酸が用いられており、放電すると正極・負極ともに硫酸鉛を発生させます。充電が完了すると両電極の硫酸鉛はほぼ分解されて元の活物質に戻りますが、 充放電が繰り返されると負極の金属に硫酸塩の硬い結晶が発生しやすくなります。鉛電池は比較的安価で使用実績が多く、信頼性も高いため、今後も変わらず広く用いられていくことが予想されています。


② ニッケル水素電池
ニッケル水素電池は正極にオキシ水酸化ニッケル、負極に水素吸蔵合金、電解液に水酸化カリウム水溶液が用いられており、負極の水素吸蔵合金に含まれる水素が水素イオンとなり、それが正極に流れ込みオキシ水素化ニッケルと結合してニッケル水酸化物Ⅱ を生成して電気を発生させます。この際に発生する水は正極で消費されるので増減しません。ニッケル水素電池は、代表的な小型二次電池であったニカド電池の2.5倍の容量をもち、ニカド電池のようにカドミウムを電極に使用していないことで環境への影響が少ないことなどの理由から、後述のリチウムイオン電池の登場までは、主にモバイル機器のバッテリーとして使用されていました。近年では乾電池型二次電池 やハイブリッドカーの動力源としても使用されています。


③NAS電池
日本ガイシ株式会社が世界で初めて実用化したナトリウム硫黄電池です。正極に硫黄、不極にナトリウム、電解質にファインセラミックスが用いられています。大容量、高エネルギー密度、長寿命を特徴としており、大規模電力貯蔵施設や電力負荷平準化、再生可能エネルギーの出力安定化等への利用が期待されている蓄電池です。


④レドックスフロー電池
バナジウムなどのイオンの酸化還元反応を利用して充放電を行う蓄電池です。長寿命かつ常温で運転可能で、不燃・難燃材料で構成しているため、安全性も高く、NAS電池と同様、大規模電力貯蔵施設や電力負荷平準化、再生可能エネルギーの出力安定化等への利用が期待されている蓄電池です。


⑤リチウムイオン電池
家庭用蓄電池の主流として使用されている電池です。
ニッケル水素電池に代わる高容量かつ小型軽量な二次電池として1991年に実用化されました。ニッケル水素電池の3倍もの電圧を誇り、自己放電が少ないことでモバイル用バッテリーとして圧倒的シェアを握るほどになりました。そして、頻繁な充放電が可能な点、長寿命な点により、電気自動車や家庭用蓄電池の主流として使用されています。